日本消化器外科学会雑誌
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局所性門脈圧亢進症の評価に超音波内視鏡が有用であった膵尾部嚢胞症の1例
道伝 研司大村 健二疋島 寛広瀬 宏一中村 寿彦渡辺 透岩 喬
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1990 年 23 巻 12 号 p. 2818-2822

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抄録

局所性門脈圧亢進症を伴った膵尾部の仮性嚢胞の1例に対し, 手術前後にendoscopic ultrasonography (以下EUSと略) を施行し, 術式の決定および胃静脈瘤の改善の評価に有用であったので報告する.患者は42歳男性.主訴は左上腹部痛.abdominal ultrasonography (以下USと略) および腹部のcomputed tomography (以下CTと略) にて膵尾部の約5×4cmの嚢胞と脾腫を認めた.US, CTをはじめとして, 術前の種々の画像検査では嚢胞に悪性所見は認められなかった.一方, 胃内視鏡検査, EUSにて胃穹窪部に限局した静脈瘤を認めた.手術術式は静脈瘤損傷の危険が少ない嚢胞空腸吻合術を選択した.術後26日目に施行したCTでは, 脾腫の改善傾向を認めた.術後のEUSでは, 術前にみられた胃静脈瘤は数, 大きさともに減少していた.膵尾部仮性嚢胞症における手術術式の決定, 術前後の局所性門脈圧亢進症の評価にEUSは有用と思われた.

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