抄録
当院で経験したCrohn病手術症例9例の成績について検討した.初回手術例の手術理由は急性穿孔4例, 膿瘍形成1例, 狭窄3例, 出血1例であった.手術術式は全例主病変から10cm以内を切除断端とする小範囲腸切除を行った.術後症状再発は直死例1例を除く8例中4例に認められ, 1例には2度の再手術を行った.本症例に対しては再手術の際short bowel syndromeを避けるため小腸の狭窄性病変に対してstrictureplastyを行ったが, 後日同部に再発を認め, 再々手術の際, 切除を余儀なくされた.現在生存中の6例は術後観察期間が1年5か月~15年7か月と短いが全例就労可能となっている.
Crohn病に対する手術は合併症に対する治療法であることを念頭において過度の侵襲を加えない術式を選択すべきである.