抄録
患者は26歳, 女性.下腹部痛, 不正性器出血が出現したため近医を受診し, 左側卵巣腫瘤 (皮様嚢腫) と診断された.当院産婦人科に入院し, 内診, 超音波検査にて子宮の上方に境界不鮮明, 超手拳大の腫瘤がみられた.腹部computedtomography, 超音波検査にて境界不鮮明, 内部不均一, 最大径8×4cmの腫瘤を下腹部に認めた.開腹術施行し, 回盲部より口側に10cmから50cmの小腸および小腸間膜に嚢胞性腫瘤が認められ, その内容は乳び様であった.小腸切除, 卵巣楔状切除術を施行した.病理組織学的診断は海綿状リンパ管腫であった.
リンパ管腫が小腸に発生することはまれであり, その解剖学的特徴から術前診断は困難とされている.卵巣デルモイド腫瘍が疑われた小腸および小腸間膜リンパ管腫の1例を報告した.