日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
食道癌の術前内視鏡超音波検査と頸部超音波検査の有用性
日月 裕司加藤 抱一渡辺 寛板橋 正幸
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 24 巻 4 号 p. 956-961

詳細
抄録
食道癌切除例について内視鏡超音波検査を159例に, 頸部超音波検査を142例に行い, 深達度・リンパ節転移の術前評価での有用性と限界について検討した.深達度の正診率は70%であったが, 粘膜下層まで浸潤した癌では45%と低かった.粘膜下層まで浸潤した癌29例の切除標本スライドのルーペ像と内視鏡超音波検査の結果を対比した結果, 癌腫の下に粘膜下層が厚く残っている場合あるいは粘膜下層への浸潤の範囲が狭い場合には粘膜癌と判定されることが多かった.また, 他臓器に浸潤した17例のうち9例は探触子が腫瘍による狭窄を通過せず, 正診率は53%と低かった.縦隔リンパ節転移陽性例は83%が診断できたが, 上縦隔右側の正診率は低かった.頸部リンパ節転移陽性例は72%が診断できたが, 長径5mm未満のリンパ節の診断は困難であった.内視鏡超音波検査・頸部超音波検査は深達度・リンパ節転移の術前評価に有用であったが, さらに改良が望まれる.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top