日本消化器外科学会雑誌
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食道癌進行度診断におけるmagnetic resonance imagingの有用性に関する検討
浜田 弘巳安田 隆義工藤 浩市山口 秀則勝木 良雄辻 寧重西村 昭男篠原 正裕
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1991 年 24 巻 4 号 p. 962-967

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抄録
食道癌の進行度診断におけるmagnetic resonance imaging (MRI) の有用性を評価するため, MRIとcomputed tomography (CT) の両方を施行した食道癌手術症例20例の, 深達度, リンパ節転移に関する両者の術前の診断率について比較し検討を加えた.MRIにおける腫瘍の描出は表在癌4例を除く進行癌16例全例で同定可能であった.深達度診断におけるsensitivity, specificity, accuracy rateはMRIで88.9%, 85.7%, 87.5%であり, CTでは85.7, 77.8%, 81.3%であった.リンパ節転移診断におけるsensitivity, speciicity, accuracyrateはMRIはおのおの80%, 100%, 90%で, CTは63.6%, 88.9%, 65%であった.いずれにおいてもMRIはCTと比較し優れた結果を示した.MRIでは食道周囲の脂肪層の同定が容易なことに加え, 任意の断面が得られるため他臓器との関係の3次元的把握が可能であることなど, 他の検査法に比較し優れた点が多く, 進行度診断における意義はきわめて高いものと考えられた.
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