日本消化器外科学会雑誌
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閉塞性黄疸時の急性潰瘍発生におよぼす黄疸持続期間と減黄操作の影響について
神山 泰彦佐々木 巌松尾 哲也松田 好郎内藤 広郎松野 正紀
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1991 年 24 巻 8 号 p. 2155-2162

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抄録
閉塞性黄疸 (以下, 黄疸) 時の急性潰瘍発生におよぼす黄疸持続期間の影響について減黄操作の効果を含めて検討した.黄疸2, 4, 6週および黄疸2, 4週兼減黄ラットを作成し水浸拘束の前後で潰瘍係数, 胃粘膜potential difference (以下, PD), 胃内pHを測定した.その結果, 黄疸が持続するほど潰瘍係数が高く, 黄疸2週では減黄操作により潰瘍係数の減少を認めたが, 黄疸4週では減黄操作のみで潰瘍発生を認め水浸拘束時の潰瘍係数の減少も認められなかった.胃粘膜PDは黄疸2週では減黄操作により水浸拘束時の低下が抑制されたが, 黄疸4週では効果が明かではなかった.胃内pHに対する黄疸持続期間および減黄操作の影響は明かではなかった.以上より黄疸持続期間が長いほど潰瘍発生が多く胃粘膜防御因子の低下もより著明となり, また, 黄疸が長期間持続すると減黄操作を行っても潰蕩発生は抑制されにくくなり, 減黄操作のみで潰瘍が誘発されることが示された.
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