日本消化器外科学会雑誌
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Adenomyomatosisに併存した早期胆嚢癌の1例
長見 晴彦田村 勝洋野原 隆彦山本 剛史中川 正久中瀬 明
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1991 年 24 巻 8 号 p. 2251-2255

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抄録

今回, 私たちはadenomyomatosis (ADM) によって形成された二房性胆嚢に胆石症と早期胆嚢癌を合併した症例を経験した.症例は72歳, 女性で術前endoscopic retrograde chotangiography (ERC) にて二房性胆嚢に合併した胆石症と診断し, 胆嚢摘出術を施行した.摘出胆嚢底部には径2.5cm大の結石を認め, また切除標本の病理組織学的検索にて胆嚢底部には慢性胆嚢炎像を, 胆嚢体部にはRokitansky Aschoff sinus (RAS) の増殖によるsegmental ADMを認め, さらにADM部より頸部側では約4.7cm×4.0cm大の範囲に拡がる早期胆嚢癌巣 (well differentiated adenocarcinoma: m RAS ss) を認めた.文献的にはADMと胆嚢癌の合併報告例は本邦では自験例も含めて6例の報告があるのみで, 自験例を除く5例はいずれも癌巣がADMより底部側に存在しているのに対し, 自験例のみADMより頸部側に存在しておりADMの癌化説を示唆する症例である.

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