日本消化器外科学会雑誌
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漿膜下層浸潤胃癌の亜分類における組織学的浸潤増殖のstage決定因子としての妥当性に関する検討
岡村 健楠本 哲也古澤 元之助林 逸郎吉田 泰憲江崎 卓弘白日 高歩
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1992 年 25 巻 1 号 p. 24-27

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抄録
ss胃癌203例 (α39, β101, γ63) を対象とし, ssγ のstage II決定因子としての妥当性を検討した.ss胃癌全体の術後生存曲線はpm (151例) とse (551例) 胃癌の中間に位置し, 両者に対し有意差を示したが, ssα, β, γ 間には予後の差はなかった.3者の背景因子をみると, ssaではBorrmann IIIが少なく, 腫瘍径が小さい点で, SSβ, SSγ に対して有意差を示したが, 予後と関係の深い因子であるリンパ節転移, 脈管侵襲, 腹膜播種, 肝転移などの頻度は, 3者間に有意差はみられなかった.治癒切除率もssα 82% (32/39), ssβ86% (87/101), ssγ89% (56/63) と3者間に大きな差はみられなかった.以上より, 従来SSγ をa, β と区別してstage分類していたが, これらを一括してSSとし組織学的stage IIの決定因子としてもよいと考えられる.
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