日本消化器外科学会雑誌
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食道浸潤胃癌における縦隔リンパ節転移例の臨床病理学的特徴および治療方針
北村 正次荒井 邦佳宮下 薫
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1992 年 25 巻 10 号 p. 2449-2454

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抄録

食道浸潤胃癌111例を対象とした検討では, 縦隔内転移陽性群 (26例) は陰性群 (85例) に比較し腫瘍径が大で, P (+) が11例 (42%) と多く (p<0.01), 肉眼型では3型・4型が多かった.また非治癒切除は20例 (77%) と多く (p<0.01), n3 (+) ・n4 (+) の頻度が高く, 未分化型が多くを占め (p<0.01), ow (+) の率も有意 (p<0.05) に高率であり, 食道浸潤距離も有意に (p<0.05) 長かった.縦隔内への転移率はNo.110: 18/80 (22.5%), No.111: 9/67 (13.4%), No.112: 4/39 (10.3%) であり, 全体では26/111 (23.4%) であった.この率は腫瘍径および食道浸潤長の増加により高くなり, 深達度および腹腔内の転移程度と相関し, とくに縦隔内陽性群は高い16a2 lateroの転移を示した.縦隔内転移 (+) 例の予後は転移 (-) 例に比較し有意に悪かったが, 縦隔内転移 (+) 例でも腹腔内が根治的となる場合は, 系統的な縦隔内のリンパ節郭清, ow (-), 大動脈周囲の郭清により予後が期待出来る.

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