日本消化器外科学会雑誌
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ICG検査からみた閉塞性黄疸患者に対する肝機能の評価
とくに大量負荷試験の有用性について
熊沢 健一大石 俊典大東 誠司窪田 公一浅海 良昭大谷 洋一芳賀 駿介梶原 哲郎
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1992 年 25 巻 10 号 p. 2483-2488

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抄録

閉塞性黄疸患者におけるindocyanine green (以下ICG) 検査値の特徴を明らかにする目的で過去9年間にICG検査を行った入院患者183例を肝硬変群105例と肝硬変を伴わない胆道疾患群78例に分け, さらに胆道疾患群を黄疸群35例と無黄疸群43例に分け比較検討した.検索項目は0.5および3.0mg/kg負荷時の消失率 (K0.5, K3.0) と最大除去率 (Rmax) とし, それぞれの消失率とRmaxの相関をみた.肝硬変群はK0.5が相関係数0.724, K3.0が0.869とともに強い相関を示した.これに対し黄疸群はK0.5が0.525, K3.0が0.832, 無黄疸群はK0.5が0.524, K3.0が0.791とK3.0では強く相関したが, K0.5ではバラつきを認めた.また, 肝硬変群ではK0.5との相関の回帰直線の傾きが0.799を示したのに対し, 黄疸群は0.392と傾きが緩やかであった.さらに肝2区域以上切除26例中術後総ビリルビンが10mg/dl以上を示した11例の術前RmaxとK3.0は低値を示したが, K0.5はバラつきがあった.したがって, 閉塞性黄疸患者の術前ICG検査としてはRmaxが優れており, 消失率でみるならば負荷量を多くしたK3.0の方が肝予備能を反映していた.

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