日本消化器外科学会雑誌
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生検材料DNA量解析による直腸癌局所再発リスクの術前予測に関する検討
局所再発例のDNA量解析結果との対比を中心に
八岡 利昌望月 英隆長谷 和生中村 栄秀小池 聖彦玉熊 正悦四ノ宮 成祥鶴 純明
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1992 年 25 巻 12 号 p. 2951-2957

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抄録

直腸癌治癒切除後局所再発17例と非再発12例の手術材料パラフィン包埋標本を用いて癌細胞核DNA量解析を行った結果, 局所再発群のDNA index (以下, DI) は平均1.28±0.24であり, 非再発群のDI 1.12±0.10よりも高値を示した (p<0.05).また, DIが1.28以上を呈したものの割合は非再発群では8.3% (1/12) なのに対し, 再発群では41.2% (7/17) と明らかな差を認めた (p<0.05) ・さらにDIが1.35以上を呈したのは全例局所再発例であった.直腸癌術前生検新鮮材料を用いて得られたDIは同一患者の手術時摘出パラフィン標本のDIときわめて近似しており, 両者間にはY=0.96X±0.09と傾きが1にきわめて近い有意な正の相関が認められた (p<0.001).以上より術前生検で得られた新鮮標本を用いた核DNA量解析は, 直腸癌術後の局所再発リスク把握の上で臨床的意義を有するものと考えられた.

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