抄録
消化器外科中等度侵襲術後患者22例を対象に, 間接熱量測定したエネルギー需要量 (EE) に基づく術後栄養管理の意義についてprospectiveな検討を行った.症例を末梢静脈輸液を行う低エネルギー群, EE実測値と同量のエネルギーを中心静脈に投与する等エネルギー群, EE実測値の1.6倍のエネルギーを投与する過剰エネルギー群に分けて1週間栄養管理を行い, 3群間でEE・呼吸商・血清蛋白・各種ストレスホルモンなどの推移を比較した.その結果, EE, 呼吸商, ストレスホルモンの術後変動は, 等エネルギー群で最も小さく術前の生理的状態に近い値で推移していたのに対し, 過剰エネルギー群では最も大きな変動を示した.Rapid turnover proteinの術前値への回復も等エネルギー群で良好であった.術後早期には, EEに見合うエネルギー投与が術後代謝状況に最も有利で, エネルギーの過剰投与は投与不足と同様に術後生体にとってストレスとなりうるものと考えられた.