日本消化器外科学会雑誌
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閉塞性黄疸のヒトnatural killer活性に及ぼす影響についての実験的ならびに臨床的研究
伊賀 芳朗
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1992 年 25 巻 4 号 p. 1012-1019

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抄録

閉塞性黄疸のnatural killer (NK) 活性に及ぼす影響とその要因について検討した.7例の閉塞性黄疸症例において4種の胆汁酸すなわちglycocholicacid (GCA), taurocholic acid (TCA), glycochenodeoxycholic acid (GCDCA), taurocheno-deoxycholic acid (TCDCA) は, 著明な高値を示した.閉塞性黄疸症例のNK活性 (12.2±2.8%) はコントロール (43.9±6.7%) に比べ低値を示したが, 減黄後には改善傾向を認めた.6例の黄痘血清で7日間, in vitroにおいて前培養処理した健常人のリンパ球NK活性は顕著に抑制された (4.9±5.6%).抱合型ピリルビン, TCA, TCDCAおよびGCAによる前培養処理では7日目まで影響を認めなかった.GCDCAでは5日目以降 (5日目; 5.6±2.6%, 7日目;4.3±3.5%) に有意の低下を認めた (p<0.01).以上より閉塞性黄疸血清がヒトNK活性を抑制することが明らかとなり, GCDCAが重要な抑制因子の1つであることが示された.

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