日本消化器外科学会雑誌
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食道胃同時性重複癌に対し幽門保存食道胃亜全摘兼有茎右半結腸間置術を施行した1例
矢野 友昭中谷 勝紀渡辺 明彦澤田 秀智山田 行重志野 佳秀上山 直人棚瀬 真宏山田 貴中野 博重
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1993 年 26 巻 11 号 p. 2644-2648

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抄録
食道胃同時性重複癌に対し, 幽門保存食道胃亜全摘兼有茎右半結腸間置術を施行した1例を経験したので報告する. 症例は60歳の男性で, 主訴は心窩部痛である. 上部消化管透視および内視鏡検査で, 食道Im領域の潰瘍限局型食道癌, 胃体下部前壁にBorrmann 2型, 胃体下部後壁にBorrmann 3型の胃癌 (多発癌) の診断を得た.手術は右開胸により食道亜全摘を行い, 上腹部正中切開にて開腹し, 幽門輪より1.5cm離れた部位で噴門側胃亜全摘を行った. 再建は右半結腸を用い, 胸骨後経路により行い, 頸部食道回腸端端吻合, 結腸残胃端端吻合を行った. 幽門輪温存により, 代用胃の貯留能が増加し, ダンピング症候群の予防となり, さらには生理的な再建法で消化管ホルモンの分泌が良好であるという利点があり, 有用な術式であると考えられる.
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