日本消化器外科学会雑誌
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胃癌虫垂転移の1治験例
湯山 友一長谷川 格藤岡 久古畑 智久平田 公一
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1993 年 26 巻 11 号 p. 2649-2652

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抄録
胃癌による虫垂転移はまれな疾患であり, 本邦においては13例の報告を見るのみである.
症例は41歳の女性で, Borrmann 2型胃癌に対し胃全摘術を施行した. 術前より右下腹部の間欠的癖痛を訴え虫垂切除を希望したため合併切除とした. 術中, 胃癌の肉眼所見は, P0・H0・N1・S1, Stage IIであった. 肉眼的には虫垂に炎症および悪性所見を認めなかったが, 術後病理組織学的所見で虫垂の粘膜下層および筋層に胃癌組織所見と同様の低分化型腺癌を認め, 胃癌虫垂転移と診断した. 術後2年を経過した現在, 再発の徴候なく健在である.
胃癌による虫垂転移は一般に2次性急性虫垂炎として術後に発見される症例が少なからず報告されているが, 本症例は術中に炎症・悪性所見もなかったが病理組織学的検索で初めて診断されたまれな症例と思われた
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