日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
非治癒切除胃癌における切除断端陽性例の臨床・病理学的検討
山村 義孝紀藤 毅坂本 純一平井 孝安井 健三森本 剛史加藤 知行安江 満悟宮石 成一中里 博昭
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 26 巻 7 号 p. 1951-1956

詳細
抄録

1965~1984年の非治癒切除 (以下, 非治切) 683例を対象とし, 切除断端癌遺残 (以下, 断端陽性) が胃癌症例の予後に与える影響を検討した.断端陽性単因子は112例あり, 3年生存率 (以下同じ) はaw (+) 32例40.6%, ow (+) 75例36-0%であった. N>R相対非治切単因子119例の32.8%に対して断端陽性30例は10.0%と有意に (p=0-0001) 予後不良であった. N>R絶対非治切は単因子50例12.8%, 断端陽性21例4.8%と生存率に差はなく, S3は単因子7例28.6%, 断端陽性5例0%, P1は単因子54例27-8%, 断端陽性14例21.4%, P2-3は単因子32例6.3%, 断端陽性11例0%といずれも生存率に差を認めなかった.肝転移単因子には断端陽性の合併がなかった.断端以外の非治癒因子が2因子以上の症例141例は5.7%, 断端陽性59例は3.4%であった.以上より, N>R相対非治切以外の非治切例では, 予後からみて, 切除断端癌遺残の影響は大きくないものと思われた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top