日本消化器外科学会雑誌
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10年以上の長期追跡結果からみた早期胃癌縮小手術の評価
細川 治山崎 信津田 昇志渡辺 国重谷川 裕海崎 泰治
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1994 年 27 巻 3 号 p. 759-767

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抄録
1963年から1982年までに開腹切除術を行った早期胃癌756例中717例 (94.8%) に網嚢切除を行わず, リンパ節郭清がD0-1にとどまる縮小手術を行い, これらの症例を10年以上にわたって追跡調査した.202例の死亡が確認され, 胃癌再発死亡が23例 (11.4%), 他癌死亡が42例 (20.8%), 非癌他病死が137例 (67.8%) であった.肉眼型が混合型である症例では再発死亡率 (7.3%) が高く, 10年相対生存率 (88.1%) が低かった.またリンパ節転移陽性例も再発死亡率 (18.8%) が高く, 10年相対生存率 (84.1%) もリンパ節転移陰性例 (100.8%) より低かった.早期胃癌縮小手術の再発死亡率は3.2%, 根治的切除が行われた症例に限ると2.9%であった.そして, 10年相対生存率は99.2%であった.大部分の早期胃癌は縮小手術の適応になりうると考えられ, どのような早期胃癌に第2群以上のリンパ節郭清が有効かを明らかにすることが今後の課題と考えられた.
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