抄録
症例は75歳の男性で, 主訴は腫瘤の肛門外脱出.約3年前に腫瘤の肛門外脱出を認め近医にて直腸ポリープを指摘されるも放置していた.その後症状の増悪と肛門出血を認め当科入院.
直腸指診にて肛門縁より5~6cm, 7時方向に柔らかい腫瘤を触知し, 注腸透視では下部から上部直腸にかけて径約7cmで, カリフラワー様の腫瘤陰影がみられ, 大腸内視鏡検査では表面が分葉し, 顆粒状で粘液に覆われた腫瘍を認めた.
腹部CTでは直腸内腔を脳回状で内部均一な腫瘍が占居しており, endoscopic ultrasonographyでは固有筋層以深への浸潤が疑われたが, 脱出した腫瘍には, 潰瘍や硬結などの浸潤癌を疑わせる所見は認めなかった.重積法にて腫瘍を切除した.腫瘍は8.5×8.0cm大の広基性病変で, 組織学的にはvillous adenomaであり悪性所見はみられなかった.