日本消化器外科学会雑誌
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憩室内に乳頭が開口したintraluminal duodenal diverticulumの1例
三浦 文彦阿部 恭久坂口 文秋宮崎 信一浦島 哲郎野村 庸一
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1994 年 27 巻 4 号 p. 897-901

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抄録

Intraluminal duodenal diverticulum(以下, IDDと略記) は十二指腸内腔に憩室を形成するまれな先天性奇形であり, 本邦では自験例を含めて40例が報告されているにすぎない. 今回我々は本邦では第1例目と思われる憩室内に乳頭が開口した症例を経験したので報告する. 症例は47歳の男性で, 心窩部痛を主訴に来院し, 急性膵炎の診断で入院. US, CTで移動性のあるcysticmassを, 低緊張性十二指腸造影, 内視鏡検査で十二指腸第2部に類円形の辺縁平滑な隆起性病変を認めた. 心窩部痛および膵炎の原因と考え, 開腹した. 第2部内腔に肛門側に開口部を持つ正常粘膜に覆われた嚢胞状腫瘤を認め, 内部に乳頭が存在していた. 胆管, 膵管に異常がないことを確認して, 十二指腸付着部より切除した. 病理組織上, 内外両面とも十二指腸粘膜に覆われており, 固有筋層が欠如していたためIDDの診断を得た. 術後経過は順調で, その後, 膵炎の発症をみない.

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