日本消化器外科学会雑誌
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巨大腫瘤を形成し外科的に切除しえた回盲部クローン病の1例
柿坂 明俊唐崎 秀則山本 康弘伊藤 久美子河野 透葛西 眞一水戸 廸郎中島 芳雄中島 康雄
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1994 年 27 巻 9 号 p. 2176-2180

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抄録

クローン病と診断されてから11年を経て, 回腸から横行結腸にかけて巨大な炎症性腫瘤を形成し, 腹痛が改善せずに腹膜炎の診断のもとに手術を施行した症例を経験した.
症例は39歳の男性.1981年に下痢, 腹痛を主訴として近医受診.腸閉塞にて回腸切除術を受けクローン病と診断された.術後の内服薬治療と成分栄養療法 (elemental diet: ED) により一時軽快したが5年後に悪心, 嘔吐, 発熱を主訴に同院に再入院.Total parenteral nutrition (TPN) とEDで管理していたが, 寛解, 増悪をくり返し, 巨大腫瘤を形成したため, 1993年に当科に入院後手術を施行した.術式は一塊となった結腸と回腸の切除で, 結腸右半切除術と小腸部分切除術を施行した.腫瘤の大きさは, 27-5×14-5×12cmであった.術後は結腸栄養および食事療法の組み合わせによる内科的治療で寛解を維持し, 順調に経過している.

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