高齢進行胃癌に対しても積極切除方針で臨んだ最近10年間の胃癌切除手術823例を70歳未満, 70歳代, 80歳以上の3群に分け, 患者側要因および術式と在院死亡との関係から高齢者胃癌手術のrisk factorを検討した.在院死亡率からみたrisk factorは, 1) 術前の生活状況からperformance status3~4, 痴呆を含め意欲低下, 独歩不能, 2) 術前併存疾患から呼吸器疾患, 貧血, 低蛋白血症, 3) 手術要因からH.P.N4因子と胃全摘があげられた.70歳未満ではこれらのfactorの有無が在院死亡に与える影響は少なく, 70歳代では1) のみで在院死亡率の上昇がみられただけであった.しかし, 80歳以上におけるこれらのrisk factorを有する症例の在院死亡率はrisk factorのない症例に比し有意に高かった.