日本消化器外科学会雑誌
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進行胃癌症例におけるapoptosisと増殖活性の検討
稲田 高男尾形 佳郎市川 明五十嵐 誠治
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1996 年 29 巻 11 号 p. 2092-2097

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抄録

術前未治療進行胃癌切除例101例を対象として, 組織学的進行度と腫瘍細胞のS期分画 (S-phase fraction), apoptosis, bcl-2蛋白 (Bcl-2) 発現を検討し, 進行胃癌における増殖活性とapoptosisの関与を検討した.
腫瘍細胞のS-phase fraction, apoptosisはflow cytometryによるapoptosis-DNA二重染色により, Bcl-2発現は免疫組織染色にて検討した.S-phase fractionはstage IV症例において高かったが, 他の因子と進行度との関連は見られなかった.apoptosis分画はBcl-2陽性例では陰性例に比べ有意に低く, また組織分化度より見るとBcl-2の発現は未分化型において高率であった.未分化型のS-phase fractionは分化型に比べ高く, S-phase fractionとapoptosis分画の間に逆相関の傾向が認められた.したがってapoptosisそのものは癌進行度との直接関係は認められないが, Bcl-2陽性例では低いことから, 腫瘍増殖を規定する一因である可能性が示唆された.

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