日本消化器外科学会雑誌
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肝細胞癌を併存した肝原発悪性混合腫瘍の1例
斉藤 博昭西土井 英昭近藤 亮石黒 稔工藤 浩史村上 敏正木 忠夫谷口 遥前田 宏仁
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1996 年 29 巻 11 号 p. 2146-2150

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抄録

肝原発悪性混合腫瘍に肝細胞癌を併存した極めてまれな症例を経験したので報告する.
患者は75歳の男性. 5年前より慢性肝炎にて近医で加療されていたが, 腹部超音波検査で肝外側区域の腫瘤を指摘され当院を紹介された. 腹部超音波およびcomputed tomography検査で肝S3およびS5に腫瘤像を認め, 肝生検でS3の病変は胆管細胞癌, S5の病変は肝細胞癌と診断された. 肝機能を考慮してS3の病変に対して亜区域切除, S5の病変に対しては術後にpercutaneous ethanol injection therapyを施行した. 術後の病理組織学的検討ではS3の病変は大部分が紡錘形細胞を主体とした肉腫成分で, 部分的に肝細胞癌成分と腺癌成分が認められた. 以上より, S3の病変は上皮系および間葉系由来の組織からなる肝原発悪性混合腫瘍と診断された. 成人の肝原発悪性混合腫瘍は本邦報告24例と極めてまれであった.

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