日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
外科的治療が有効であったmyxedema megacolonの1例
山崎 俊幸酒井 靖夫川口 英弘畠山 勝義
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 29 巻 11 号 p. 2185-2189

詳細
抄録

80歳の女性に生じたmyxedema megacolon (粘液水腫性巨大結腸症) に対し, 甲状腺ホルモン剤を3か月投与して甲状腺機能は改善したが, 腹部症状は改善しなかった.放射性非透過マーカーを用いた検査で, 脾彎曲部から肛門側へのマーカーの移動が認められないことから, 腸管運動能の廃絶したmegacolonと判断し, 横行結腸瘻を造設して良好な経過が得られた.
myxedema megacolonは極めてまれな病態で, 治療法は甲状腺ホルモン剤の補充で外科的治療は禁忌とされており, 手術などに関する議論はいまだ皆無である. 本邦報告例は5例にすぎないが, 自験例を含めて2例で手術的治療が有効であった. 過去に手術治療を試みなく死に至った報告もあり, 不可逆性と判断されたmegacolonに対しては, 積極的な外科的治療も考慮されるべきと考え報告した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top