1996 年 29 巻 11 号 p. 2180-2184
症例は75歳の男性で, 再生不良性貧血の経過中に右下腹部痛, 発熱を訴え来院した. 右下腹部に圧痛, 反跳痛を認め, 腹部CT検査, 超音波検査にて回盲部の腫脹腸管を認めたため, neutropenic enterocolitisを疑い緊急開腹した. 画像検査でみられたごとく, 回腸末端より上行結腸まで腫脹しており, 盲腸は壊死様の色調であったため回盲部切除術を施行し, 自動吻合器を使用し端側に吻合した. 術後は抗生剤, G-CSFなどを使用し好中球数の増加とともに順調に回復した.
本症は好中球減少時といった限られた状況で発症するため, 該当例においては腹痛, 発熱, 下痢などの臨床症状をみた場合に本症を念頭におき, 早期に対処することが望まれる.