日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
直腸腫瘍に対するE式開肛器と自動縫合器を用いた経肛門的局所切除術の有用性
前田 耕太郎丸田 守人橋本 光正山本 修美洪 淳一中島 顕一郎細田 洋一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 29 巻 11 号 p. 2220-2224

詳細
抄録

これまで行われた直腸腫瘍に対する経肛門的局所切除術 (PAE) ならびに経仙骨的局所切除術 (TSE) と, 新しく開発したE式開肛器と自動縫合器を用いた経肛門的局所切除術 (MITAS) につき臨床的に比較検討した. 対象は直腸腫瘍に対する局所切除術を施行した43例 (44病変) で, 24例にMITAS, 17例にPAE, 2例にTSEが行われている. 3術式の対象となった病変の大きさはほぼ同じであったが, 病変の部位はMITAS例で他の術式に比べ有意に高位であった. 手術時間はMITASで平均28分, PAEで41分, TSEで73分, 出血量はMITAS, PAE, TSEでそれぞれ平均25g, 47g, 45gであった. 術後の経口開始までの日数や術後の退院までの日数もMITASで有意に短縮した. 合併症はPAEで縫合不全2例, TSEではなく, MITASで軽度の後出血を1例認めた. MITASはこれまでの局所切除術と比較して, より高位の腫瘍に到達可能なminimally invasiveな術式と考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top