症例は72歳の男性. 主訴は便通異常. 大腸X線注腸造影所見で盲腸の虫垂根部に隆起性病変を認めた. 大腸内視鏡検査で虫垂開口部に腫瘍を認め, 虫垂内腔より多量の粘液排出を認めた. 生検結果は腺管絨毛腺腫で, 虫垂腫瘍の診断で回盲部切除を施行した. 切除標本では虫垂根部に25×11mmの腫瘍を認め, 腫瘍により一部根部が盲腸内へ重積していた. 組織学的検査で, 腫瘍は虫垂の絨毛腺腫と診断された. 虫垂絨毛腫瘍はまれな疾患であり, 本邦報告例は自験例を含め10例と非常に少なく, このうち7例は腺腫で重積合併例は5例であった.