日本消化器外科学会雑誌
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原発性空腸腺扁平上皮癌の1例
青木 久恭三浦 誠司三重野 寛治和田 浩明野沢 慶次郎小平 進田中 文彦
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1996 年 29 巻 12 号 p. 2309-2313

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抄録
症例は64歳の女性. 全身倦怠感を主訴に近医を受診し腹部腫瘤と貧血を指摘され, 当科へ紹介された. 入院時CEA 21.7ng/ml, CA 19-9 155.9U/mlであった.上部消化管X線検査でTreitz靱帯から約8cmの空腸に狭窄像を, 注腸X線検査では横行結腸に粘膜面平滑な狭窄像を認めた. 空腸腫瘍の診断で開腹, リンパ節郭清をともなう空腸部分切除術, 結腸右半合併切除術を施行した. 切除標本では空腸の腫瘍は小潰瘍を作り, 壁外性に発育して約7cm大の腫瘤を形成し横行結腸に浸潤していた. 病理組織学的検査では中分化の腺腔を形成する腺癌部分と, 軽度角化を示し敷石状に増殖する扁平上皮癌部分が認められ, 空腸原発の腺扁平上皮癌と診断した. 患者は術後22か月で肝転移をきたし, 化学療法施行するも術後32か月で死亡した. 小腸原発の腺扁平上皮癌は非常にまれで本症例は本邦2例目である.
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