日本消化器外科学会雑誌
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リンパ節転移よりみた大腸sm癌の治療方針
岡本 春彦酒井 靖夫斎藤 英俊島村 公年村上 博史瀧井 康公須田 武保畠山 勝義
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1996 年 29 巻 8 号 p. 1760-1767

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抄録

内視鏡的摘除術の役割に重点おき, 大腸腺腫・早期癌の治療方針をsm癌のリンパ節転移の有無に基づいて検討した. リンパ節郭清を含む腸切除術が施行されたsm癌146病変のうちリンパ節転移は15病変10.3%に認められたが, 深達度smlaの全病変および大きさ15mm未満の有茎・亜有茎性病変にリンパ節転移は認められなかった. 有茎. 亜有茎性では深達度sm1で大きさ15mm未満かつ脈管侵襲陰性の病変, 無茎性では深達度smlaで脈管侵襲陰性の病変にリンパ節転移の危険性は極めて低く, 内視鏡的切除術による根治的治療が可能であると考えられた. 臨床的には, 腺腫, 早期癌を鑑別できなくとも有茎・亜有茎性病変に対しては積極的に内視鏡的切除術を施行すべきであるが, 無茎性病変には初回治療として手術が選択されるべき病変も多いため, 正確な深達度診断に基づいた治療方針が重要であると考えられた.

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