日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
術後肺塞栓症の予防法としてのintermittent sequential pneumatic compressionの使用経験
味村 俊樹山口 浩和清水 伸幸金田 篤志安田 秀光酒井 滋倉本 秋上西 紀夫山川 満大原 毅
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 30 巻 5 号 p. 1023-1027

詳細
抄録
肺塞栓症 (以下, PE) は, まれではあるが致死率が高いため, 欧米では重大な術後合併症と認識され, 予防法としてヘパリン投与や波動型末梢循環促進装置 (intermittent sequential pneumatic compression: 以下, ISPC) が採用されている. ISPCとは術中に下肢を機械的にマッサージし, 深部静脈血栓症 (以下, DVT) およびPEを防止する装置である.今回我々はPEの予防法としてISPCを使用したので, その使用経験を報告する.1995年10月-1996年9月の1年間で, 当教室における全身麻酔下待期的開腹手術182例のうち, 肥満や長時間の手術などのDVTやPEに対するhigh risk群56例にISPCを使用した.使用群56例と非使用群126例の間で, DVTおよびPEの発生率を比較検討したところ, ISPC非使用群でDVTが1例, PEが2例発生したのに対して, ISPC使用群ではDVTが1例発生した.ISPCによる副作用は認めなかった.有意差はないが, ISPCは安全で簡便にPEを予防しうる装置と考える.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top