抄録
S状結腸癌根治術後1年7か月を経て腹壁創瘢痕に再発し, 再発腫瘤切除6年後の今なお無再発生存中の1例を経験したので報告する.症例は60歳の女性.S状結腸癌は2型, 6×4cm, SEP0H0M (-) D3, se, ly0, v0, n (-) であった.1年7か月後腹壁正中創臍部に再発した.他に転移は認めず, 腫瘍から約2cm離して, 腫瘍に癒着した小腸約10cmとともに腹壁を切除した.腹壁欠損部はマーレックスメッシュを用い補強した.腫瘍は原発結腸癌と同様の中分化腺癌であり, 転移再発と診断された.腹壁創瘢痕への転移再発形式は術中操作による腫瘍細胞の創へのimplantationと思われた.