日本消化器外科学会雑誌
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阻血障害肝の早期機能評価法の検討
とくに肝静脈酸素飽和度 (Shvo2) の検討
高谷 俊一本間 猛美澤田 光広小野塚 直也原田 治大出 華子福田 晃也山田 芳嗣小林 慎鈴木 宗平
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1998 年 31 巻 10 号 p. 2063-2070

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抄録

肝移植早期の移植肝機能評価ならびに肝膵合併切除や拡大肝切除施行例の過度の肝脱転操作, 肝阻血法など手術操作に起因する肝虚血侵襲の指標として, 肝酸素消費量, 肝組織ATP値, 動脈血ケトン体比 (AKBR) ならびに肝静脈酸素飽和度 (Shvo2) について, 60分ならびに90分の肝温阻血モデルを用いて肝血行動態, 肝酸素需給動態とともに基礎的に検討した. 結果として, 肝酸素消費量, AKBR, 肝組織ATP値は, 肝温阻血障害の程度に応じて低下し, 肝阻血侵襲の指標となった. Shvo2は肝酸素供給量と肝酸素消費量に規定され, 肝阻血障害が高度の場合, 肝酸素消費量が低下するため, Shvo2に有意の低下を認めなかった. Shvo2の低下は肝血流低下の指標にはなるものの, 肝阻血侵襲の程度をあらわす指標とはならなかった.

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