日本消化器外科学会雑誌
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肝内結石症に合併した肝のinflammatory pseudotumorの1例
上田 順彦小西 一朗広野 禎介
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1998 年 31 巻 10 号 p. 2090-2093

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抄録

肝内結石症に合併した肝のinflammatory pseudotumor (IPT) の1例を報告した. 患者は74の女性. 主訴は発熱, 倦怠感. 入院時検査成績では, 高度な炎症反応と胆道系酵素の上昇を認めた. 腹部超音波検査では, 肝内外の胆管内に多数の結石像を認めた. 肝外側区域末梢部は, 内部に嚢胞部分を含む低エコー域により腫大していた. 入院時の造影CTの動脈優位相では, S3末梢部に内部が多房性嚢胞で周囲がリング状に造影される病変を多数認めた. 10日後の動脈CTでは同部の腫大は軽減し, 各病変は嚢胞部分の消失により大きさは縮小し, 円形の濃染となった. 肝内外型肝内結石症および肝膿瘍を疑い, 胆管切石および肝外側区域切除術を施行した. S3末梢部には黄白色の充実性腫瘤が多発していた. 組織学的にはリンパ球, 組織球を主とした炎症性腫瘤が孤立性あるいはグリソン鞘を中心として集簇しており, IPTと診断した.

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