日本消化器外科学会雑誌
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松山における胃癌診療の特徴
栗田 啓久保 義郎佐伯 俊昭横山 伸二棚田 稔多幾山 渉高嶋 成光
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1998 年 31 巻 10 号 p. 2146-2151

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抄録

松山市にある国立病院四国がんセンターにおける早期胃癌治療の現況について報告する. 陥凹主体のM癌では, 長径が10mm以下で潰瘍廏痕が無い分化型癌で内視鏡下粘膜切除 (以下EMR) を適応とし, それ以外のもの, 20mm以下の病巣に対して, 術中N (-), n (-) を条件に腹腔鏡下あるいは開腹下胃局所切除, それをこえるものに対してはpor以外でDO胃切除, porでD2胃切除を行っている. 隆起主体のM癌に対しては, 20mm以下でEMR, それをこえるものに対しては胃局所切除, 残胃の高度の変形をきたすようであればD0胃切除を行っている, 内視鏡部で施行したEMR 149例中5例に癌の遺残, 再発がみられた. 開腹下胃局所切除を17例に施行し, 術後に5例にsm層にわずかに癌浸潤が認められた. 腹腔鏡下胃局所切除を35例に施行, sm1が7例, sm2が3例, sm3が1例にみられた. 早期胃癌の術式の適応は流動的で議論の余地を残している.

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