日本消化器外科学会雑誌
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再発病態から見た関連肝炎別の肝細胞癌初回手術術式の検討
福田 洋余喜多 史郎田代 征記石川 正志三宅 秀則八木 恵子宮内 隆行原田 雅光
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1998 年 31 巻 11 号 p. 2215-2220

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抄録

肝細胞癌手術症例の初回術式について関連肝炎別に検討した.対象は遺残例を除くHBs抗原陽性例 (B群) 24例, HCV抗体陽性例 (C群) 67例で, B群で若年者に多く腫瘍径が大きかった.門脈侵襲, 肝内転移など予後に与える因子の陽性率は腫瘍径5cm以上の群で有意に高かったので, B群18例, C群63例の腫瘍径5cm未満症例について検討した.再発例はB群が4例 (22.2%), C群が36例 (57.1%) で, 再発様式はB群は2例 (50.0%) が残肝多発再発であったが, C群では多発再発は5例 (13.9%) のみで, 同側葉, 対側葉の別で差は見られなかった.[結論] 1.B群では肝機能が良好で再発様式も遺残再発が多く, 初回手術時に病巣をできるだけ大きく系統的に治癒切除すべきである, 2.C群では初回, 再発ともに多中心性発生と考えられる症例が多く局所のコントロールを目的とした支配グリソンを処理した部分切除で良いと考えられた.

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