下咽頭癌術後18年を経て再建皮膚管に扁平上皮癌が発生した極めてまれな1例を経験した.症例は73歳の男性.55歳時, 下咽頭癌に対し咽喉食摘術, 皮膚管 (Delto-pectoral skin flap法) による再建を施行された.また67歳時結腸癌の既往があった.下咽頭癌手術から18年後, 嚥下困難のため精査したところ再建皮膚管内に扁平上皮癌の発生を認めたため, 皮膚管切除術, 遊離空腸による再建を行った.腫瘍はポリープの融合状病変で, 組織学的には高度の慢性炎症像を伴っていた.皮膚管に対する食物や消化管分泌物の機械的, 化学的刺激による慢性炎症を基に, 隆起性病変が前癌病変となり癌化する可能性が示唆された.皮膚管による再建は, ハイリスク患者や再建消化管臓器に適切なものがない場合などは依然として有用と考えられるが, その場合には長期的観察が必要である.