日本消化器外科学会雑誌
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胃癌治療の多様性
とくに早期胃癌治療の変遷について
比企 能樹
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1998 年 31 巻 3 号 p. 803-812

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抄録
北里大学外科における25年間の早期胃癌治療の歩みを顧みると, 当初の標準術式がD2手術であったものが, 現況では症例毎の適応を定め, D1プラス7番リンパ節郭清術, あるいは内視鏡的治療が行われている. とりわけ, 開腹手術による標準術式の術後にみられたイレウスの発生率に注目する必要がある.
内視鏡的治療法で, 第1選択として行われている粘膜切除術は, 一括完全切除率が70%台と満足のいく成績ではない. われわれの施設ではレーザー照射を遺残病変の追加療法として用いることで, 治療成績を100%台にあげることができた. 低侵襲法による癌の治療を行う以上は, いかなる手段を講じても体内に癌を遺残させないこと, それが無理な場合には, 逆に開腹による徹底した根治手術を行うべきである. 中途半端な対応は絶対に慎まねばならない.
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