日本消化器外科学会雑誌
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肝原発悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma) の1切除例
和田 大助森本 重利露口 勝田中 直臣惣中 康秀福本 常雄山崎 眞一仁木 俊助
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1998 年 31 巻 8 号 p. 1874-1878

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抄録
症例は71歳の男性で, 発熱, 全身倦怠感を主訴として, 近医から精査目的で当院内科に紹介された.腹部超音波およびCT検査で, 肝左葉を占居する腫瘤を認めた.血管造影ではやや血管増生像と腫瘍濃染を認めた.術中所見では, 腫瘍は肝左葉を中心に存在し, 横隔膜に一部浸潤を認め, 術中迅速病理検査で, malignant fibrous histiocytoma (MFH) と診断されたため, 横隔膜合併肝左葉切除術を施行した.摘出標本では, 腫瘍の大きさは20×10×13cm, 重量は1,300gであり, 黄白色で壊死と膿瘍の部分を認めた.病理組織学的検索の結果, MFH, inflammatory typeと診断された.現在外来で経過観察中であるが, 局所再発が疑われている.肝原発の悪性線維性組織球腫の報告例は非常にまれであり, 現在まで我々の検索しえたかぎりでは22例にすぎず, 文献的考察を加え報告する.
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