日本消化器外科学会雑誌
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腸間膜脂肪織炎の1例
山口 健太郎勝部 隆男土屋 玲遠藤 俊吾島川 武加藤 博之成高 義彦芳賀 駿介小川 健治梶原 哲郎
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1998 年 31 巻 8 号 p. 1889-1892

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抄録
症例は83歳の男性. 腹痛と発熱を主訴に来院した. 腹部CT検査にて腸間膜のdensityの上昇と, その内部にhigh densityな索状影を認めた. 腸間膜脂肪織炎を疑うも, 腹膜刺激症状が強く認められたため, 汎発性腹膜炎の診断で開腹した. 小腸間膜のほぼ全域に肥厚を認め, 小腸の血行障害も認められた. 術中, 腸間膜脂肪織炎と判断し, 小腸間膜の減張切開, 生検および腹腔ドレナージ後閉腹した. 病理組織学検査でも腸間膜脂肪織炎の診断であった. 術後第1病日よりステロイドを投与し, 腹部症状の改善とCRPの低下を認めた. また自験例では経時的に腹部CT画像を観察し, この疾患に特徴的と思われる腸間膜のdensityの上昇と, 症状改善に伴うdensityおよびvolumeの正常化が認められたので, 併せて報告した.
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