日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
Virchowならびに腹部大動脈周囲リンパ節に転移を有したS状結腸癌手術後6年無再発生存の1例
馬場 秀文田中 克典菅 重尚鈴木 文雄大高 均守谷 孝夫
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 31 巻 8 号 p. 1907-1911

詳細
抄録
Virchowならびに大動脈周囲リンパ節転移を有した進行S状結腸癌に対して根治度Bの切除術を施行し, 術後6年現在, 無再発生存が得られた症例を経験したので報告する.
症例は48歳の女性で, 1991年9月左鎖骨上窩の腫瘍にて来院した. リンパ節生検および注腸検査よりVirchowリンパ節転移を伴った進行S状結腸癌と診断された. 11月8日S状結腸切除ならびにD4郭清を施行した. 病理組織診断は中分化型腺癌, ss, n4 (+), P0, H0, M (+), ow (-), aw (-), ly (3), v (3), stage IVであった. リンパ節転移 (合計16/48) を認め, 特に腹部大動脈周囲には多数の転移 (9/30) が認められた. 術後補助療法として, 5年間UFT600mgの内服を行ったが, 現在術後6年, 無再発生存中である.
n4症例の予後は一般的に不良とされているが, 自験例のように積極的な手術および補助療法により予後が改善される症例も認められると思われたので報告した.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top