1999 年 32 巻 12 号 p. 2621-2630
食道再建胃管におけるprostaglandin E1(PGE1)の全身静脈内投与と局所動脈内投与による血流改善効果を検討するため, 雑種成犬を用いて再建胃管モデルを作製した. 実験群として, 1)対照群, 2) 生理的食塩水(生食)局所動脈内投与群, 3)PGE1全身静脈内投与群, 4)PGE1局所動脈内投与群の4群を作製した. 再建胃管先端部の組織血流量(PU), 組織酸素飽和度(ISO2), 胃粘膜下pH を経時的に測定し, 同時に組織学的所見も検討した.
胃管先端部のPU, ISO2, pH は生食局所動脈内投与群では改善しなかったが, PGE1投与により有意な改善がみられた. 特に, 局所動脈内投与群では静脈内投与群に比べて有意に良好であった. 組織学的にもPGE1局所動脈内投与群では, 粘膜上皮の変性像は見られず, 毛細血管の拡張や間質浮腫は早期に改善した.
PGE1局所動脈内投与法は再建胃管の微小循環を改善し, 食道胃吻合部の縫合不全発生予防策としての有用性が示唆された.