日本消化器外科学会雑誌
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大腸内視鏡検査により発症した脾損傷の1例
菅谷 義範齋木 浩士
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1999 年 32 巻 12 号 p. 2679-2683

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抄録

大腸内視鏡検査 (colonoscopy, colonfiberscopy: 以下, CFと略す) により, 脾損傷を発症した1例を経験した. 症例は72歳の男性で, 腸閉塞により当院内科に入院した. 20年前に胃潰瘍にて幽門側胃切除術を受けている. 保存的治療で腸閉塞は改善したが, 入院前より便秘傾向であったため, 入院10日目に大腸内視鏡検査を行った. 大腸内視鏡の挿入はスムーズで, 大腸内にも異常は見られなかった.検査終了後4 時間経過した頃より左上腹部に疼痛が出現し圧痛も認められた. また, 血圧が低下しショック状態となった. 血液一般検査にても赤血球数の減少と, 血色素の低下が認められたので, 出血によるショックと考えられた. 腹部CT 検査を行ったところ脾損傷が認められたので, 緊急手術を行った. CF の合併症としての脾損傷は極めてまれであるが, 左上腹部痛や, ショック症状があった場合には, 脾損傷を念頭に置くべきである.

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