日本消化器外科学会雑誌
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胃穿通をきたした膵仮性嚢胞内出血の1例
石原 寛治山田 正鈴木 範男永来 正隆秋 顕西川 正博藤井 弘一
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1999 年 32 巻 3 号 p. 870-874

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抄録
症例は約2年前, 急性膵炎で膵前面に巨大仮性膵嚢胞と膵尾部にも小さな嚢胞を形成し, 保存的治療を受けた既往のある34歳の男性で, 左上腹部痛とともに吐血をきたし救急搬送された. 緊急内視鏡で胃体上部大彎側後壁に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍様隆起があり, 活動性出血がみられた. 腹部カラードップラーUSで拍動波を認め, ダイナミックCTでも経時的に造影される膵尾部の3cm大の腫瘤は脾動脈造影でも濃染像を呈し, 脾仮性動脈瘤胃穿破の診断のもと膵尾部切除・脾摘・胃体部分合併切除術施行した. 病理診断上, 仮性動脈瘤の所見はなく仮性膵嚢胞内出血 (以下, 本症と略) であった. 本邦では1972年以降, 本症の消化管穿通は自験例を含め7例報告されている. 症状は重篤で死亡率も高い為, カラードップラーUS・ダイナミックCT・血管造影検査などにより, 経時的に嚢胞の形態を観察していく必要があると考えられた.
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