日本消化器外科学会雑誌
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閉塞性黄疸を認めた十二指腸悪性リンパ腫の1例
菅原 元藤岡 進加藤 健司待木 雄一伴野 仁相川 潔橋本 瑞生横山 幸浩石川 玲吉田 カツ江
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1999 年 32 巻 4 号 p. 1022-1026

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抄録
症例は76歳の女性. 背部痛と黄疸を主訴に来院した. 胃内視鏡検査で十二指腸球部から下行脚にかけて大きな潰瘍性病変を認め, 生検で悪性りんぱ腫が疑われた. 内視鏡的逆行性膵胆管造影では総胆管は造影されず, 主膵管に異常はなかった. 経皮経肝胆管造影で総胆管下部に完全閉塞を認めた.
Computed tomographyでは十二指腸下行脚に全周性の壁肥厚を認めたが肝などの遠隔転移はみられなかった. 以上より, 十二指腸悪性リンパ腫との診断で, 根治手術可能と判断し膵頭十二指腸切除術を施行した. 組織学的にはmedium sized cell typeのnon Hodgkin lymphomaであった術後VEMP療法を1クール行い, 軽快退院した. 十二指腸原発悪性リンパ腫はまれであり, 進行した状態で見つかることが多い. 病期や患者の全身状態を把握して治療法を選択することが重要と思われた.
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