抄録
患者は56歳の女性. 健康診断にて肝機能障害を指摘され, また上部消化管内視鏡検査時, 十二指腸球部に粘膜下腫瘍を指摘された. 腫瘍は3cm径の半球状で, 中心陥凹およびbridging foldを認め粘膜下腫瘍の診断のもと幽門側胃切除術を施行した. 病理組織学的には紡錘形細胞の密な結節性増殖巣よりなり, また免疫組織学的にはSMA, S-100蛋白染色で陰性を示し, vimentin染色のみで陽性を示す組織由来の明らかでないgastrointestinal stromal tumorと診断された. また核分裂像は400倍率10視野で1~3個認め, 悪性度は低いと考えられた. 本疾患の概念はいまだ確立されておらず, 文献的考察を加えここに報告する