日本消化器外科学会雑誌
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胃食道逆流症診断における食道内ビリルビンの経時的測定の意義
大杉 治司東野 正幸徳原 太豪綛野 進高田 信康西村 良彦竹村 雅至船井 隆伸奥田 栄樹木下 博明
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2051-2057

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抄録

胃食道逆流症評価における食道内ビリルビン測定の意義を, 逆流愁訴を有する24例と無愁訴5例を対象にpH測定と比較検討した. ビリルビン測定にはBilitec 2000を用い, 吸光度0.15以上をビリルビン逆流とし, 観察時間に対する逆流の百分率を%timeとした. 無愁訴例の%timeはともに5%以下であり, 有愁訴例中, 上部消化管に器質的病変のない3例では酸逆流は5%以下であったが, 2例で8%以上のビリルビン逆流を認めた. 逆流性食道炎を認めた21例中, 胃切除後の4例では全例にビリルビン逆流を認めた. 他の17例では食道炎の重症度によって酸逆流に差はなかったが, ビリルビン逆流の%timeに有意の差を認めた. 食道内アルカリ化とビリルビン逆流に相関はなかった. 食道内ビリルビン逆流測定は胃食道逆流症の診断・重症度評価に有用で, 特にachlorhydriaや酸逆流軽度例に診断的意義があると思われた.

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