日本消化器外科学会雑誌
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胃の動脈リンパ領域からみた早期胃癌の至適郭清範囲
小林 正則大山 繁和太田 惠一朗松原 敏樹太田 博俊高橋 孝中島 聰總
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2072-2076

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抄録

早期胃癌における至適リンパ節郭清範囲の解析を目的に, Roviere, Collerらにならい, 胃を左胃動脈領域, 右胃動脈領域, 右胃大網動脈領域, 脾動脈領域の4領域に分け, 各領域に転移を認める早期胃癌の分布を検討した. 対象は, 腫瘍径4cm以下の早期胃癌単発リンパ節転移例84例である. その結果, 左胃動脈リンパ領域が幽門前庭部, 胃上部大弯を除くほぼ全胃を占め, 胃角上より肛門側の幽門部全体を占める右胃大網動脈のリンパ領域と広く重なりがあることが明らかとなった. 一方, 右胃動脈, 脾動脈領域はおのおの幽門前庭部小弯, 胃上部大弯の狭い範囲であった. これらは, 胃中下部では, 複数の方向にリンパ節転移が起こることを示している. したがって, 早期胃癌の縮小手術に当たっては上記の動脈リンパ領域を考慮にいれリンパ節の郭清範囲を決定すべきである.

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