日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
CA19-9産生Meckel憩室癌の1切除例
大城 望史田中 恒夫板本 敏行時田 大輔山崎 浩之大石 幸一木村 まり藤高 嗣生住元 一夫福田 康彦
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 32 巻 8 号 p. 2144-2148

詳細
抄録

症例は63歳の男性で, 主訴は下血. 血清CA19-9異常高値 (830U/ml), CT, Gaシンチなどから, 悪性腸間膜腫瘍を疑い開腹した. 回盲部より80cmの部位にMeckel憩室を認め, 同部に腫瘍および腸間膜リンパ節の腫脹を認めたため, リンパ節郭清を含めた回腸切除を行った. 病理組織学的にはMeckel憩室から発生した中分化型腺癌で, 憩室内には迷入組織を認めなかった. 術後血清CA19-9は速やかに低下し, また抗CA19-9抗体を用いた免疫染色で陽性であり, CA19-9産生腫瘍と診断した. Meckel憩室癌は本邦22例目と極めてまれである. 本症は予後不良であるが, 自験例は1年6か月経過した現在も再発の兆候を認めず, CA19-9の上昇も認めていない.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top