症例は63歳の男性で, 主訴は下血. 血清CA19-9異常高値 (830U/ml), CT, Gaシンチなどから, 悪性腸間膜腫瘍を疑い開腹した. 回盲部より80cmの部位にMeckel憩室を認め, 同部に腫瘍および腸間膜リンパ節の腫脹を認めたため, リンパ節郭清を含めた回腸切除を行った. 病理組織学的にはMeckel憩室から発生した中分化型腺癌で, 憩室内には迷入組織を認めなかった. 術後血清CA19-9は速やかに低下し, また抗CA19-9抗体を用いた免疫染色で陽性であり, CA19-9産生腫瘍と診断した. Meckel憩室癌は本邦22例目と極めてまれである. 本症は予後不良であるが, 自験例は1年6か月経過した現在も再発の兆候を認めず, CA19-9の上昇も認めていない.