日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
胆嚢総胆管結石に対する腹腔鏡下手術の手技と成績
北野 正剛板東 登志雄
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 32 巻 8 号 p. 2177-2181

詳細
抄録

いまや腹腔鏡下胆嚢摘出術は胆嚢摘出術の標準術式となった. しかし腹腔鏡による視野は開腹術の視野に比べて制限があり, また2次元のモニター下での鉗子操作には熟練を要するため, 胆管損傷の危険性が常時内在しているといえる. 胆管損傷を回避する手技の要点は, 十分な術野の展開と解剖の把握, 胆嚢寄りでの慎重な剥離操作にある. 自験例の検討では, 腹腔鏡下胆嚢摘出術268例中, 術中偶発症による開腹術への移行は1例 (0.4%) で, 肝硬変合併例での肝床部出血が原因であった. 合併症のため術後開腹術を要したのは1例 (0.4%) で, 高度炎症により細い総胆管が胆嚢頸部背側に強固に癒着し, 胆嚢管とともに一塊となっていた症例での胆管損傷であった. 総胆管結石症に対しては, 主として腹腔鏡下総胆管切開, Cチューブドレナージを選択し, 同法を施行した34例では術後平均9.7日で退院できており, 腹腔鏡下手術における早期退院, 早期社会復帰の利点を損なわない良好な治療成績が得られている.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top