日本消化器外科学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の手術術式と治療計画
山村 武平荘司 康嗣楠 正人
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2000 年 33 巻 1 号 p. 113-118

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抄録
潰瘍性大腸炎 (UC) の外科的治療には根治性と同時に機能性が求められ, 永久的回腸人工肛門, 回腸肛門吻合術, 回腸肛門管吻合術 (回腸直腸吻合術) などの手術術式における改良と進歩があり, 今日に至っている. 私どもは3期分割手術計画を基本としたJ型回腸嚢肛門吻合術 (IAA) を行ってきたが, IAAでは体位変換を要し, 手術時間が長く, 手術侵襲も大きくなっていた. 1997年以降, 超音波駆動メス (Harmonic Scalpel) とバイポーラーシザーズ (Power Star) を導入, 術式の改良を行った結果, IAAは簡便で出血量の少ない, 安全な手術となった.さらにはUCに対する外科的治療のstrategyをも改善し, 緊急手術であっても2期分割手術で行うことが可能となっている. ただし穿孔例や, Crohn病と鑑別のつかない症例は3期分割手術とせざるを得ず, 患者のニーズに答えるためには, より的確な診断と手術時期の選択が重要であると考える.
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